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日々

どうでもいいことを


by 日々

ニューヨーク・バーク・コレクション展

06.2.12「ニューヨーク・バーク・コレクション展」に行く。

Enduring Legacy of Japanese Art:The Mary Griggs Burke Collection

メアリー・バーク夫人がコレクションした作品群が日本にちょっと里帰り、という作品展だったのだが、予想以上のボリュームで大興奮。二時に入ったのに、閉館時間になっても見終わらず…。思う存分見られず、悔しい思いはしたけれど、本当に見ごたえあった。出来ればもう一度行きたい。Yさんと一緒に行って、散々待たせてしまったのが、もう一番の反省点。いくら謝っても申し訳ない気持ちは消えず。結局は自分の欲望を優先してしまったわけだからね。次回からは必ず1人で行こう。

●縄文土器や弥生土器、埴輪が以外とグッときた。ちょこっと陶芸をやったからだろうか。植物の灰を振りかけて上薬のかわりにしていたものがあった。すごい!…でも学校で習ったかも。美術史の記憶が全くない。テストで出るから憶えた知識って、残らない。興味をもって勉強するのが一番いい。と実感。

●素朴な木彫りの仏蔵や男女の像に心を持って行かれ、
涙出そうになった。横顔や斜め下からのアゴのライン、45度、とかいろいろ見る。セツで付いてる癖がでてしまうらしい。みんなふっくらした輪郭と瞼だった。今の人って痩せ過ぎなのかも。

●仏像や曼陀羅がとにかくすごい。美術と宗教の関係について考える。Yさんい話したところ、昔の貧しい作家はお金が良いそういう仕事をせざるを得なかった、という話を教えてくれた。そういえばダヴィンチもそうだ。宗教といっしょに美術は発展してきたんだナー。あ、これも学校で習ったかも。忘れてるや。
オランダ人が日本に来た場面を描いた屏風絵もあったのだけれど、彼らもキリスト教を伝えにはるばるやって来たんだものね。
いまの自分たちに必要なものって宗教みたいなものかもしれないや。

鹿の曼陀羅の絵で、背中に木が生えた鹿がいた。ヨーロッパの紋様の本でみた象徴だ!シルクロードで来たのかな。すごいや。

●光琳も宗達も酒井抱一も円山応挙も、曾我蕭白、伊藤若冲…もう全員集合!って感じだった。大好きだった、尾形光琳の布袋図が生で見られた!墨でしゃっと描いたカワイイやつ。カップル女「あーわたしこの人の絵すきー。」カップル男「この人って…光琳だよ!」という会話にウケル。

他と比べてわかったが、円山応挙の屏風絵はやっぱりすごい。多くを描いていないのに、空気や臭いを感じる。色を感じる。音を感じる。

●曾我蕭白さんと伊藤若冲さんは、今回初めて意識して見た。曾我蕭白の石橋図では何故か泣けた。犬が石橋を駆け上がっている絵で、表情がほんとうにかわいい。見ながらにんまりしてしまった。一緒に居合わせた他人も、にんまりしていた。三百年後の私たちを、こんな風に幸せにしてくれて、曾我さんありがとう!曾我さんはいわゆるデロリとした絵で、アウトサーダーアートに近い。図版でみたことはあったが、吐き気がしてくるくらい気持ちが悪くて嫌いだった。でも今回見た作品は、本当に素晴らしかった。形式にとらわれず自由に描いていて、現代のアニメのようだった。動物も人も、生き生きしていて(しすぎていて)、こっちが負けそうなくらいだ。
後で調べたら、1700年代の作家でやはり当時も罵倒されまくっていたらしい。で、酒を飲みながら、よっぱらって描いたらしい。ケミカルやりながらのアートに近いじゃん!

●洛中洛外図、地名や建造物の名前が、一部現存しているものと同じで、あああそこだ!と思って見てた。
祇園祭をしていたり、大名行列っぽい人たちに、みんなが跪いていたり…人が一人一人しゃべりかけてくる。マンガみたいに吹き出しがついてくる。


●源氏物語や西行法師の話を描いた屏風が素晴らしかった。金雲でしきって場面を分けて、一枚の屏風で物語を表現する方法って、多分日本の独自のものだよね。ほんとすごいよ。鎖国してくれた人ありがとう!メアリー・バークさんありがとう!って本当に思ってしまう。

素敵だった屏風絵、他にもたくさんあった。

麦原と金のバックで画面を大胆に区切った屏風。デザインされていてとてもモダンだった。著名なひとじゃなくて、職人さんが作ったものらしい。

柳橋水車図屏風。会社の資料で前日ちょうど見ていた作品を、生で見られて感激。

中国の都市や風景を描いた屏風、すっごく細かくて,
まるでRPGの画面みたいで、見ていて楽しかった。

●ポジがそろってないのか、画集に全部の絵が載ってなかったのが残念。見られなかった物は画集を買えば良いと思ってたので、なおさら。


●宣伝が内容の素晴らしさを伝え切れていないような気がした。
私フライヤーは持ってたけど、行かない予定だったもの。
Yさんに誘ってもらわなかったら、本当にもったいない事をするところだった。ありがたいー!

広告のメインビジュアルは、曾我蕭白の石橋図。個人的にはすごく好きな絵で、冷蔵庫に貼ってたくらいだけれど、一般受けはしないのかも。
水墨画なので華がないのかな。金屏風や豪華な宗教画などを全面に出した方が、客寄せにはなる気がした。
by korimagiya | 2006-02-13 12:45 | 絵とひとりごと